『一点モノのバッグを作っていただきたいのですが。』
そんなメッセージが届いたのが、連日茹だるような暑さが続いていた去年の8月でした。
今はおかげさまで教室業の方が忙しくさせてもらっていて、なかなか自分の作品の制作時間が取れない状態。
やたらお待たせしても申し訳ないと思いつつ、『どんなバッグでしょうか?』と尋ねると、送られてきたのは一通のメールでした。
添付されたフォルダを開いた瞬間、震え始めた自分の手。
目に飛び込んできたのはなんと、誰もが一度は目にしたことがあるであろう“スタジオジブリ”のロゴ。
そして事細かに指定が入っているバッグのデザイン画は、まさにジブリタッチのそれだったのです。
きた…いよいよきた。このチャンスを逃す手はない。
自分の中で、まるで着火剤に火をつけた時のように、“ボンッ”と音を立てて何かが弾けたような感覚になったのを今でも鮮明に覚えています。
ウチの教室の生徒さんは知らない人はいないと思うほど、ボクはジブリの作品が大好きです。
ただちょっと偏りがあって…一番好きな“紅の豚”は軽く100回は観てると思う。
新しいのは正直あんまり分かりません。
依頼されたのは宮崎監督の息子さんの宮崎吾朗監督の作品のものでした。
でもそんなの関係ない。ジブリのお仕事ができるなんて誰でもできることじゃない。
メールを見てすぐに『やらせていただきます』と返信したのです。
が
これがスタジオジブリと鬼のようなやり取りの始まりだとは、この時はまだ知る由もないのです。。。
初めてメッセージが来たのが8月上旬、仕事を受けると返事をしたのがお盆明け、その後のメールで衝撃の事実が発覚します。
納期、8月中。
しょっぱなからボディブロー食らいまして(笑)
でも一度受けると言ったのだからやるしかない!ってことで、教室終わりに作業を進めて、まずはサンプルを完成させました。
今となっては懐かしいぃぃぃ(笑)
自分が持ってるなるべく近い素材で作ってみました。
あの正確に描かれたデザイン画を原寸大に拡大して、それをチケン紙(型紙用の厚紙)に貼り付け、そこから完璧に型紙を取ったので間違いない!と自信マンマンでスタジオジブリに送りました。
ホンマは直接持っていきたかったけど(笑)
スタッフさんの反応はバッチリ!だったんですが…
監督:『フォルムをちょっと変えてほしい』
『じゃああのデザイン画はなんなんじゃーーー!!』ってブチギレそうな気持ちをグッと抑えるも、このまま『はいわかりました』ではいくら相手がジブリだろうと職人としての気がすまねぇ。
『では作り直しますが、型紙制作代は倍いただきますネ♪』と交渉。
でも内心は『あ、じゃあ他の職人当たりますんで。』とか言われたら死ぬまでトラウマ確定やーん!なんてドッキドキしながら待つこと数分。
『大丈夫です!』ってあっさり一発返事。ウン、信じてましたぜ!(笑)
さすが世界のジブリは懐が深いでやんす。
型紙の修正はした。あとは向こうから指定された素材が送られてくるのを待つのみ。
待つのみ….
待つのみ…..
届かねぇ。待てど暮らせど届かねぇ。
連絡しても、『プリントにトラブルが…』『ファスナーは今作ってて…』『合皮はもう送れるはず…』リアルそば屋の出前状態。
そして材料が揃ったのがなんと10月初め!そして10月中に絶対完成で!とかなんやねん!!めちゃくちゃやんけー〜〜ー!!って気持ちをグッと堪えて♪(笑)
時間を作ってひたすら制作し、なんとか完成!“これでどうじゃー!”とばかりにジブリへ発送。
監督:『ここがちょっと….』
この時点で10月26日(チーン)。
もう一回作る!作るけど材料ねーよ!今日送れーーーっ!!
…バッグ、10月31日スタジオジブリ着。
監督:『うん!いいね!』
燃え尽きたわ(笑)
ってことで、無事に納品されまして。
いよいよ今月オープンとなりましたジブリパークの新しいエリアに、ワタクシの作ったバッグが展示されております。お出かけの際は見てやってくださいまし。
自分の仕事の夢。
・お店を持つ → ⭕️叶った
・NIKEの仕事したい → ⭕️叶った
・L’Arc〜en〜Cielの仕事したい → ⭕️叶った
・JUKIの仕事したい → ⭕️叶った
・ジブリの仕事したい → ⭕️叶った
そして今年の秋に…もう一つ。
やったるでー!
【イベントのお知らせ】
【革フェス in BANDY’Sレザークラフト教室 2024】
開催日時:3月30日(土)31日(日)10:00〜17:00
場所:BANDY’Sレザークラフト教室 台東区浅草6−26-8
入場無料
【今週の看板娘】
やっとトリミングに行けてサッパリんこ。
でも久しぶりに顔のツルツルやめました!
こっちの方が女の子っぽいネ♪
【今週の教室風景】
これは大作の予感…!
素晴らしい、お仕事の達成おめでとうございます。!! バンディさんは、どんどんステップアップして行きますね。どこから、そのバイタリティが生まれて来るのでしょうか?羨ましいです。私も、まだまだのんびりと製作活動を行っています。80歳までは、頑張ります。来月から出店も始まる予定です。
ありがとうございます!
なんかステップアップしてるという意識はあんまりなくて…ご縁があったお仕事を黙々とやってるだけというか(汗)
しかしそんないいご縁をいただけるのも、本当に月並みですが、“続ける”これしかないですよね〜。
大野さんもお身体と対話しつつ、ご自分のペースで続けていってください!