先週からの流れで。

先週のブログで、ちょっと革のお話をしました。


革のサンプル帳はテンション上がるけど、結局はどれを選んだらいいのかわからなくなる〜…といった内容です。

案の定、今週も生徒さんが『見せてくださーい!』ってパラパラとページをめくっておりましたが、パタンっと閉じてスッと元に戻します(笑)



そんな中、最近入ったばかりの生徒さんからこんな質問が。



『いい革ってどういう革なんですか?日本の革って安いんですか?イタリアの革ってやっぱり高いんですか??』



はい、きましたー(笑)
レザークラフト を始めると、必ずと言っていいほどこの壁にぶち当たります。
そして年に2〜3回はこの質問をされます。

先週も書いたように、なるべく“革のナゾ”的なことも丁寧に説明して、ウチの生徒さんには自分の望む革が買えるようにお手伝いさせてもらってます。
ですのでこの質問をされた時、必ずする話(説明)があります。
今週のブログはその話の内容を書こうと思うのですが…



自分はこのブログにレザークラフトのHow toや豆知識的なことを書くのが好きじゃありません。
というか、ブログ以外のSNSにもです。
現にほとんど書いてないと思います。
理由はと聞かれると….それだけで今回が終わってしまいそうなので割愛(笑)。


なので今日のブログはウチの生徒さんへの勉強用のつもりで書きます。
とはいえ誰でも読めますので、生徒さん以外でも、もしどこかでレザークラフトをやっている方が考えるきっかけになれば幸いです。


って、そんなお堅いことじゃありゃしまへんのでお気楽にドーゾ(笑)




【内容は“牛革”についてになります】

まず、基本的なことですが、日本とヨーロッパでは1枚の革の“切り方”が異なります。
レザークラフトをやられている方なら誰もが聞いたことがあるであろう“半裁”という言葉。

これは日本の規格で、牛一頭を背中で割った半分が半裁、“1枚”というと日本ではこれになります。



対してヨーロッパはと言うと


こういう切り方になります。
上半身(ショルダー)と下半身(ベンズ)、そしてお腹(ベリー)に切り分けされます。

日本の図と照らし合わせてもらうと、違いがわかりやすいかと。


厳密に言うと、部位によってその特性に見合った製品への使い方があったりもしますが、ことヨーロッパにおいては『革は食肉産業の副産物以上のもの』と捉えられているそうで、革としての使いやすさを考慮してこの切り方になったと言われています。



ここでポイントになってくるのが“ベリー(お腹)”と言われる部位。



半裁であれ切り革であれ、革を買ったことがる人なら誰しも経験したことがあると思いますが、革の床面(裏側)がボソボソになっていて使いにくかったことがあるはず。
それがいわゆるベリーと言われる部位です。

特にその革が薄めで内地(国産)の原皮だった場合は顕著。
元の牛の品種がみなさんご存知“ホルスタイン”、または一毛(ひとけ・毛の色が一色)の“黒毛和牛”であることが多いです。
この品種は血統を守ために近親交配が行われているため、遺伝子的に個体が弱くなります。
したがって皮膚も薄いため、厚い革が採れません。
特に雌牛はお腹が垂れ下がるため、ベリーはボソボソで使い物にならない場合が多いです。

海外の原皮の場合。
肉牛として雑種交配が多く、遠い遺伝子同士が結びついた方が個体が強くなるため、皮膚も厚くなって繊維も締まっており、ベリーもボソボソになりにくい。


したがって、日本規格の半裁はベリーが無条件で付いてくるので、革1枚に対して使える部分(これを歩留まりと言います)が少なくなり(全体の70%ぐらい、30%は使えない)、ヨーロッパ規格だとベリーは別の用途として切り取られているので、歩留まりは限りなく100%に近い革になります。

これを金額にすると、例えば日本の革が1デシ80円、ヨーロッパの革が1デシ100だった場合、日本は使えない約30%分も価格に乗っているので、厳密に言うと80円の3割増しで1デシ104円になって、ヨーロッパの革の値段を上回ることになります。
※注 この計算や金額はあくまでもわかりやすくした例です。


なので一概に

日本の革 ⇨  安い
ヨーロッパの革 ⇨ 高い

と言う図式は成り立たないことがわかります。



じゃあ日本の革がダメかと言うとそう言うことではありません。
ヨーロッパの革は原皮は良いのですが….重い!
フルレザーでバッグを作った場合、けっこうな重さになります。
日本の革でちゃんと厚みがコントロールできれば、フルレザーで作ってもぜんぜん重くありません。

Qrinafのバッグは日本の革を使うことがしばしばありますが、お客さんが持った時に『これは軽いですね!』ってよく言ってもらいますが、こういった理由があるためです。


ですので、生徒さんに覚えておいて欲しいのは、その革が良い悪いではなく、その革が持っている特徴を知り、自分が作ろうとしている作品に合っているかどうかを考えて欲しいと言うことです。
経験がないうちは失敗も大いにあります。
自分も今まで数え切れないほどの失敗してきました。

例えば、作ったは良いけどまったくひっくり返せなかったり、革が古かったことに気づかず、出来上がってから裂けてしまったり….。



革の特徴や向いている用途を見分けるには経験が必要ですが、そこはうちの教室に通ってもらっていることを大いに利用してもらって、なんでも相談して欲しいと思います。
どんな革を探しているか?買ったは良いけど、自分が作ろうとしているものに向いているか?
出来る限りのアドバイスをさせてもらいますので、遠慮なく聞いてくださいネ♪



失敗談も遠慮なく聞いてネ(笑)




【念のため】
このブログの内容は私バンディ個人の知識と見解で書きました。
これからもアップデートを続けていきますので、先々言うことが変わる可能性があります。
また内容に間違いがあると思われた場合は、今度直接教えてください(笑)





【今週の看板娘】

なんか視線を感じるな〜と思って見上げたら…(笑)




【今週の教室風景】

水曜の夜の部は昼間と違って、なんだかまったりな空気感。
その空気に寄り添う音楽を。





『ぜんぜんミシン初心者なんですけど大丈夫なんですか?』
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BANDY’S Leather craft school

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